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たといそうでなくても

私が30余年前にクリスチャンになったきっかけは、韓国人の故安利淑姉にお会いしたことによる。韓国人の夫がビザを延長するのに、ロスの韓国領事館に出向いた時に、韓国語の申請書が書けないで困っている夫を助けてくれたのが、安姉のご主人の金東明牧師だ。

日本語で話しかけてくれて、自分の教会では、お昼に韓国料理がでるから、ぜひいらっしゃいと誘ってくれた。子供もいないし、家も持っていなかった私たちは家事や育児で追われることもなく、ヒマをもてあましていたので、その教会にお礼参り(?)にある日曜日にでかけてみた。

韓国語がわからないので、英語部の礼拝に行こうとした私たちを初対面の安姉は私の手をとって「私が通訳してあげるから、韓国語の礼拝にきなさい」とご主人の金牧師の説教をセンテンスごとに隣で日本語に通訳してくれた。すばらしい讃美の歌声だった。

その後も、永住権をとるために弁護士を紹介してもらい、その手続きに韓国領事館にでかけた際には、安姉がついていってくれ、クリスチャンではなかった私たちには理解しがたいくらいに親切にしてくれた。けれど私たちは、その後お礼参りはもう終わったと義理での教会通いはやめた。

しばらくしてから、ばったりデパートで会った時に、「今、戦時中のことを本に書いているから、出来上がったら読んでね」と言われた。それが後にベストセラーになった「たとえそうでなくても」の本だ。

LAホーリネス教会での彼女の講演会に行き、その本を読んで彼女が天皇参拝をしなかったために、日本政府から死刑の宣告を受け、極寒の韓国の牢獄ですごし、死刑執行の前に終戦になって、その後アメリカに渡ってきて、牧師婦人となったという生涯を知った。彼女のバックグランドを知った時には、まるで、崖から突き落とされたような想いだった。

彼女はウィットにも富み、またおしゃれで、なんともいえない魅力をもった女性だった。同じ人間として、彼女のような人になりたいという想いが与えられ、結局それがきっかけとなって、私はクリスチャンになった。

あれから、この本を友人たちに紹介こそしていたが、読み直したことがなかった。最近再度この本を読み出した。最初に読んだ時には彼女の生涯のすごさに圧倒されて気づかなかったが、なんと表現力が豊かなことか。韓国の自然の描写もすごい。

今回は筋ではなく、ゆとりをもって読んでいるので、色々な箇所に気づく。こんなことも書いてある。

「悩みや苦しみがあってこそ、人間としての価値があるのではないか。またその悩みや苦しみが大きければ大きいほど、人間は神と共にことを成し遂げられるのではあるまいかとも思われた。我が身に負えないほどの悩みや苦しみを、神様と共にわけあいながら、神様といっしょに解決してゆくということは、人間として、どんなに感謝すべき美しいことであろう。私は急に感謝にみちあふれ、叫びだしたい衝動にかられた….」

まだ読んでいない方があったら、信仰のために命を捧げようとした安利淑姉のこの本をぜひ、一読してほしい。生ぬるい信仰生活に喝をいれるためにも。

竹下弘美

Comments / Trackbacks

  • Comments ( 5 )
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  1. はじめまして。
    12年前に読んだ「たといそうでなくても」を、今年の夏、教会から再び借りてきて読んでいます。
    自分の生ぬるい信仰、神様と距離ができてしまったことにどうしようもない気持ちになり、読むことにしました。

    この本は何度読んでも新しい発見があり、すごすぎる本ですね。読むと、安先生と同じ神様を私も信じているんだと思い、もっともっと神様に近づいていこうと思わされました。

    少しでも安先生のその後のことが知りたいと思い、ネットで検索していますがほとんど情報はありません。

    そんな中でこちら様のブログがヒットしました。
    安先生ご夫妻と直接会われた方がいたなんて・・・。
    本当に羨ましいです。
    もっともっと安先生ご夫妻のお話が聞きたいです。

    みなさんはゴスペルをされているんですね。
    私は千葉在住ですが、ブログの中に稲毛など近所の地名も見つかり親近感がわきました。
    海外旅行も大好きですので、日本にいらした際、または私たち夫婦がアメリカに行って皆様のゴスペルを聴かせていただきたいなーと思いました。

    これも安先生のご縁かなーと思って・・・。
    皆様のお歌をいつか聴ける日が来ることを祈っています。
    神様のためにその武器として与えられた声を用いて、多くの方に福音をお伝え下さいね。
    私は被虐待児のカウンセリングをする公立学校の先生として、これまた自分の賜物を用いていこうと思います。
    感謝を持って。むらかみ

  2. ゆっきー様、

    コメントありがとうございました。

    上の記事「たといそうでなくても」を書かれた竹下弘美さんは毎月一度、当ブログのコラム「命の水の泉から」に寄稿して下さっている方です。(NCM2のメンバーではありません)

    ゆっきーさんからコメントを頂戴した事を竹下さんにお伝えしておきました。

    今後ともよろしくお願いいたします。

    NCM2隊長

  3. 竹下 弘美

    ゆっきーさん

     安先生はとってもチャーミングな方でした。おしゃれでその上ユーモアがあって。
    でもたぶん、牢獄にいるときの栄養失調のため髪はウイッグをかぶっていらしたようです。

     ご主人の金先生は、10年ほど前に関西の無牧の教会に赴任されました。その後どうなさったかは存じませんが。

     この欄で書きましたが、私は彼女の魅力に捉えられ、同じ人間でありながらあのようなすばらしい方になれるのは、なぜだろう、それは主イエス様を信じる以外ないと受洗した次第です。

     ゆっきーさんはすばらしいお仕事をされているのですね。イエス様の光で輝いてくださいね。

     私の属するサンロレンゾキリスト教会の島田直牧師は5年前まで千葉県の袖が浦教会の牧師先生でした。
     サンフランシスコ近郊です。

     竹下弘美
                   

  4. Megumi Isogawa

    I have read the book of Mrs. An (Kin) (Waga Inochi tsukiru tomo, An Ri-Shuku) in the little church-library in Japan. I wish I could read the true original manuscripts of her, which should be in America, not published through japanese publishers ‘safely’, in the perfect form of her beautiful Japanese. Give me some informations that you have!

  5. 私なんかがかいていいのかな…

    愛知県に住むクリスチャンです

    私も最近読みました

    主が与えてくれたのかな、と思うほど感動しました

    先生にお会いしたなんて羨ましい

    私もこんな信仰を持ちたいけどこんな試練はいやだな…

    もっと主に近づきたい

    あ、ちなみに40代の男です

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