我輩は中国のスパイという信じがたい濡れ衣を着せられ、烙印を押され、そればかりでなく・・

我輩は酒場牧師である

我輩は酒場牧師である。前科はまだない。刻は昼近く、所は名も知らぬウガンダの小さな町、実に楽しくのんびりと散歩を終えて警察署に帰還した我輩は即座に異変に気がついた。先ほどまでとは比べ物にならないほどの多数の警察官や軍服に身を包んだ兵隊が立っているのである。

「あ!帰ってきたぞ!」「帰ってきた、帰ってきた!」と辺りは大騒ぎ。帰ってきたくらいで騒ぐな。当たり前である。散歩にブラッと出かけただけなのだ。帰ってこなければ問題だ。ともあれ、我輩が不在の間に問題が生じたらしい。雰囲気もものすごく不穏で剣呑である。

「誰か手配中の極悪人でも捕まったのかな?」などと思っていると、有象無象どもをかき分けて二人の男が我輩の前に立った。制服から、一人は警察官、一人は軍隊関係者であることがわかる。

しかも二人ともとてもエラソーである。しかもなぜか二人ともひどくお怒りのご様子である。なにかこれはいわゆるピンチというやつだな、ということがひしひしと伝わってくるではないか。

「こらぁっ!どこへ行っていたんだぁっ!」などと怒鳴られても、事態のわかっていない我輩は「へっ?なんすかあ?どこって、、、散歩ですけど」

さらに怒りのボルテージを上げた二人、「さ、さ、散歩だとおっ!?誰がそんなことを許可したっていうんだああっっ!」もう怒りは三百万ボルトに跳ね上がった!

我輩は叱られるのが嫌いな牧師である。叱られて泣かなかったことはまだない。

「だ、だってえ、あそこのおまわりさん達がみんな出かけていい、って行ったんだよう」と我輩は泣きながら(ウソ)訴えた。

しかし我輩の涙の訴えは完全に無視され、「中へ入れ!」と突き飛ばされた。散歩前までの日ウ(日本とウガンダね)友好的な雰囲気は吹き飛んでしまっていた。

中では厳しい尋問が行われた。果てしのない無意味な質問攻め。パスポートを端から端まで何度も何度も行ったり来たりページを繰りながらヒソヒソと相談する。執拗な荷物チェック。服のポケットは全てひっくり返された。

しまいに我輩の股間に手を伸ばし、「この巨大なものはなんだ!?(文中やや誇張あり)」、「そ、それは我輩のシンボルでありますですと申します(ややうろたえ気味)」この時だけ一同「わっはっは」と笑い一瞬座が和む。こんなことで和んでんじゃねえ、ウガンダ人!

我輩は座を和ませ牧師である。巨大なシンボルはまだない。

この後もいろいろあったが最終的に驚くべき宣告が下されたのだった。

「お前はスパイである!」

「へえ、なあんだ、我輩はスパイだったのかあ」

我輩はスパイ牧師である。奥歯に仕込んだ毒薬を使ったことはまだない。

って、違うってえの!スパイじゃねえし!大体どこのスパイだってんだよ、このスットコドッコイがあっっ!!
答えはあっけなかった、

「中国だ」

「ちゅ、ちゅ、ちゅ、中国うっ!?なんでだよ、お前が手にしているのは日本のパスポートじゃねえか!」

「ふん、こんなものは偽物だ」「に、にせものお?なんでだよ!?」「ここを見てみろ。これは◯年◯月トルコで押されたものだ。ところが次のページにはもっと古い日付のタイランドのスタンプだ。順番がデタラメじゃないか。こんなものは偽物に決まっとるわい!」

「入出国のスタンプなんてなあ、1ページ目から順番にきれいに押してくれるやつなんかいねえんだよお!デタラメに開いたページに好き勝手にスタンプ押すんだよ!そんなこともわからねえのか、このトウヘンボクめが!」

「はい、ダメえ、君はスパイに決まりね、中国の。うっふっふ。」

「うっふっふじゃねえってんだよ、このアンポンタンめがあっ!」

てなわけで我輩は中国のスパイという信じがたい濡れ衣を着せられ、烙印を押され、そればかりでなく首都カンパラの本部まで護送するというえらく物々しい話になってしまったのである。我輩って実は大物?ちょっとだけ?

ああ、この我輩という一介の美青年とまでは言わないが誰しも認める好青年に突然訪れたこの悲劇!どうなっていくのでしょう。それは次回ね。じゃあまたね。

我輩は中国のスパイ牧師である。中国当局から指令を受けたことはまだない。

中村 透(牧師バー店主/主任牧師@酒場で教会)


にほんブログ村 音楽ブログ ゴスペルへ
にほんブログ村



にほんブログ村 ライフスタイルブログ アメリカンライフスタイルへ
アメリカンライフスタイル・ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックをお願いします。