我輩は能天気牧師である。真剣に悩んだことはまだない。

我輩は酒場牧師である

行かないで!おねがいっ!


我輩は酒場牧師である。 前科はまだない。

さて、「行かないで!おねがいっ!」と泣き叫ぶウガンダ女をぼろ雑巾のように捨て去って我輩は先を進むのだ。

相変わらず車は1台も来ないのでただただひたすら歩き続ける。う〜む、せめて自転車が欲しい!と思うがここはアフリカ。放置自転車などあるわけもない。

ようやく次の小さな町というか村に着いた時異変が起こった。ビリビリに破れたきたねえランニングシャツに短パン、裸足の男が話しかけてきたのだ。

ウガンダで職質

「どこから来たの?」、「どこへ行くの?」

これはまあ当たり前の、貧乏旅あるあるの質問である。あるあるでは、通常この後に「お父さんの名前は?」とか、「収入はいくら?」とか、「牛は何頭持っているか?」などの重要な質問が続くのだが(これは本当の話である。冗談ではない)、このビリシャツ男は次にこう言ったのである。

「パスポートを見せてくれ」

即怒ること瞬間ガス湯沸かし器の如しと言われた我輩である。怒鳴りつけた。

「なんでてめえなんかにパスポート見せなきゃいけねえんだよ!誰なんだ、てめえは!!!」

彼は平然としてこう宣った、「ポリスマンだ」

「ポ、ポリスマンだと!?てめえなんかがポリスマンならオレは富山の薬売りだ!」などと怒りのあiまり錯乱気味に我輩は叫んだ。

「じゃ、じゃあ、身分証明書見せてみやがれ、このスットコドッコイがあっ!」

「はい、これ」

本当にポリスマンだった

驚天動地とはこのことである。このビリシャツ裸足男は本当にポリスマンだったのだ。

まあ、そうとわかればパスポートを見せるにやぶさかではない。見せると次にビリシャツポリスはこう言った。

「荷物チェックしていい?」

まあ、やばいものも持ってないし断る理由もない。しかしビシャポリ(ビリシャツビリ短パン裸足ポリスマンのことである)の検査はものすごく執拗だった。

こんな厳しい検査はどこの国の入国時にも受けたことがない。我輩が時々日本から受け取る手紙まで開いて読んでいる(読めるわけもないが)。この辺りから事態は我輩の望むものではない方向に進み始める。

「今夜泊まるとこ決まってるの?」

バカにしてはいけない。我輩は浮浪者一歩手前牧師である。その日の宿が決まっていたことなどない!そう告げるとビシャポリは、「ふ〜ん。じゃあ今夜は警察に泊めてあげるよ。飯も食わせてやるからさ」と、ありがたいような、やばい何かを含んでいるような申し出をしてきたのである。

しかしアフリカの、特にウガンダの人はやさしくて親切である。彼は本当に警察署に泊めてくれたし晩飯も食わせてくれたのである。ありがたいことである。

タンザニア軍の砲撃。

異常な出来事は草木も眠る丑三つ時に起こった。突然、ドカーン!という爆発音がしたかと思うと窓ガラスがビリビリと割れそうに震えた。な、なんだ、なんだ!

さしもの冷静沈着な我輩も少しちびりながら飛び起きた!続いて二発目!三発目!建物自体が震えている。しかしその辺に寝ているおまわりさん達は平然としている。

「あれはなに!?なんなのっ!?」と叫ぶ我輩に、「ああ、あれはタンザニア軍の砲撃だよ。いつものことだよ。当たりゃしないから大丈夫」と、起き上がりもしない。

いいのか、それで、ウガンダよ!と思ったが、起きていてもすることもないので我輩は再び寝てしまった。

翌日、親切なおまわりさん達に見送られて我輩は次の町へむかった。この町でもおまわりさんから話しかけられ、同じようにその夜の宿を与えられ、晩飯もご馳走になるのであるが、夜の砲撃は前夜よりも心なしか激しさを増しているような気がする。

翌朝旅立とうとすると、おまわりさんの一人が、「もうすぐ署長が来るからちょっと待っててくれる?」

「ああ、いいよ。じゃあ、ちょっとそのへん散歩して来るよ」、「はい。いってらっしゃ〜い」

てなわけでしばらく町をぶらついて帰って来ると思いもよらない事態が我輩を待っていようとはお釈迦様でも気がつくめえ。

我輩は能天気牧師である。真剣に悩んだことはまだない。

中村 透(牧師バー店主/主任牧師@酒場で教会)


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