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執筆のためホテルに缶詰になるということは昔からの夢であった。出版社の人々に追われて髪を振り乱して書くことに専念するというのは、なんと格好の良いことか。そして今、私はカワイ島で缶詰になっている。といっても出版社に追われてというわけではなく、自主的にだから、格好の良さからは程遠い。

雨が多いため、緑の多いこの島は海岸の美しさだけではなく、起伏にも富んでいる。執筆はさておき、着いて1日目には海岸めぐりをし、2日目には滝やハワイのグランドキャニオンと呼ばれているキャニオンを見にいった。

途中スコールに遭ったり、景色が楽しい。写真を撮りながら、もうそろそろルート550というキャニオン行きの道が出てくるはずと思っていたのだが、なかなか出てこない。地図とにらめっこしてもそれまではっきりしていたのに、なんだか、わけがわからない名前の海岸行きの小道が目の前に出てきた。どうせならその海岸を見ようと、舗装されてない赤土の道に入っていった。

すぐ海岸が見えるのかと思いきや、道は海岸とは離れて山に向かっていく。周りはサトウキビが生い茂り、薄暗くなってなんだか不安になる。雨雲も出てきた。行けども行けども辿りつかない。「もう引き返そうよ」と言うと、夫はここまで来たのだから、いまさら引き返すのはもったいないという。それに道があるということはどこかに行けるはずだという。延々と道は続く。向こうから2、3台は帰ってくる車に出会った。ということはやはり、辿りつくこともあるのだろう。

それにしても赤土の泥道を30分くらい走っただろうか。急に道がきれいな砂地になって、道路が終わりかけた。日も照ってきた。砂地に車を止めて夫が左の小さな高台に偵察に行った。そして、車に鍵をかけて出てくるようにと私に合図してきた。右手はそびえる山だ。夫の居るほうに登って驚いた。

眼下に白い砂浜と紺碧の海が広がっているではないか。人の姿が2,3人見えたが、すばらしい光景だった。地図にないこんなすごいところって、まさか、夢? 後で地図で探したら、有名なビーチだった。

道を辿っていけば、必ず目的地に到達するのだ。しかも途中不安だったが、想像以上の素晴らしい所に。

私は道であり、真理であるという方に従っていくとき、私たちの人生にも同じことがおこることは今までの人生でたびたび経験してきたことだった。そしていつも神さまは私たちの思いをはるかに越えた美しい景色を用意していてくださったではないか。

そういう私は、執筆をよそに明日は島のどの地域を探検しようかとまた地図を見ている。

竹下弘美

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