我輩はピンチのどん底牧師である。希望の光はまだない。

我輩は酒場牧師である

我輩は酒場牧師である。前科はまだない。てなわけで、久しぶりにここは地の果てアフリカはウガンダに話は戻るのである。何はともあれヤベえことはたくさんあったがなんとか無事に生きて首都はカンパラの街にたどり着けたことは祝着至極でございました。

カンパラ中央警察署の思い出・・

で、我輩を護送してきたポリコマンたちはとある建物の前に車を停めると、「じゃあ、中でちょっと待っててね。すぐ誰か来るからさあ」などと明るくほざいて去って行ってしまった。またもやスパイ容疑者という重大犯を一人ほったらかして彼らはどこかへ行ってしまった。

いや、行く先は分かっている。市場へトラック満載のバナナを売りさばきに行ったのだ。やさしくて面白いヤツらだったがいい加減である。我輩が逃げちゃったらどうするつもりなんだろう。

「ホントにもう、いつまで待たすんだよ!逃げちゃうぞ!」と思いはじめたころ別のおまわりさんだと思われる二人の男が迎えにやってきた。「いやあ、待たせてごめんね」とノリの軽さは護送ポリコマンたちと同じである。

我輩たちは街中をブラブラと歩いてどこかへ向かう。途中店に入ったり道ゆく若い女性を冷やかしたり、緊張感がないこと夥しい。

一体どこへ連れて行かれるんだろうかと思ったが、まもなくついたところはカンパラ中央警察署であった。当たり前すぎておもしろくもない。建物もまったくおもしろみのないそっけないビルである。

これに比べればさっきまでひとりぼっちでオイテケボリにされていた建物は何か凄みがあった。背筋が寒くなってくるような不気味さがあった。この建物の正体は何年も後になって判明するのであるが、まずは中央警察署である。

まあ、ここでちょっと調べればすぐにスパイ容疑も晴れて釈放と相成るだろうと思っていた我輩は今思えばノーテンキであった。この後、あのように身の毛もよだつおとろしい出来事が待っていようとは誰が想像し得たであろうか。お釈迦様くらいであろう。(ひょっとして我輩はお釈迦様が好きなんだろうか)

我輩はノーテンキ牧師である。思いわずらいはまだない。(なかった)

地下へ降りていくとそこは大きなローヤというか留置場であった。入り口のところで何やらノートに記入すると我輩を連れて来た二人は去って行った。ローヤ番のポリコマンは言った、「どこでもいいよ。入ってて。もうすぐご飯だからね」

取り調べも何もない。しかも、どこでもいいよ、だと?なんという適当さであろうか(これもう何度言ったろうか)

入ってみると大きな部屋は人がいっぱいいる。我輩以外は全部アフリカ人である。人生にこれほどアウェーな状態があるだろうか。ここはアフリカで、警察の留置場で、我輩一人が非アフリカ人の日本人である。他は全員マックロだ。

我輩は黄色牧師である。他の色はまだない。

我輩は黄色牧師である。他の色はまだない。200人くらいはいたであろうか。どうやっても目立ちまくり、浮きまくっている我輩の元に彼らはすぐさま集まってきて質疑応答が始まる。

断っておくが彼らは皆親切でやさしくていい加減で底抜けに明るかった。留置場にいるとは思えない明るさである。訊かれて、我輩がなぜここにいるのか、どうしてこのようなことになったのかを説明すると(実は自分でもよくわからないのだが)、全員が大喜びで大爆笑である。みんなおんなじだよ〜と彼らは言った。

つまり、彼らは全員がスパイ容疑で捕らえられているわけである。しかし、我輩は断言できる。この中にスパイなど一人もいない!

我輩は濡れ衣着せられた無実牧師である。前科はまだない(ギリギリね)。

しかし、しかし!である。みんなの話を聞いているうちに我輩は青くなった。「みんなここにどれくらいいるの?」と訊くと、「オレは7ヶ月くらいかなあ」、「おいらは2年になるね」

気軽に言うんじゃねえええええっ!7ヶ月うっ!?に、2年んんんんんっ!?

じょ、冗談じゃねええええええっ!冗談じゃねえぞおおおっ!

我輩は濡れ衣着せられただけでもちろんスパイなんかじゃねえんだぞおおおおおっ!と思わず叫ぶと、「だってオレたちだってみんなそうだぜ」

「あ、なるほど。そうでしたね」。うん、論理的にしっかりしている。納得。って、納得してる場合じゃねえっ!

「で、取り調べは?いつ頃やってくれるのかなあ?」

「取り調べ?そんなのやったことねえぜ」

「げげっ!」

てなわけで、タダメシは喰えるし拷問もないからいいけど、取り調べもないまま7ヶ月!? 2年!?じゃあ、我輩の無実の証明は?どうなるの?

でも大丈夫!優秀な日本大使館がある。そうだ、そうだった。すぐ助けに来てくれるさ。で、日本大使館は?

ウガンダにはないの〜!

じゃあ、助けの求めようもないわけえ?リンダ困っちゃう、じゃなくて我輩ね。

てなわけで、我輩はピンチのどん底牧師である。希望の光はまだない。

中村 透(牧師バー店主/主任牧師@酒場で教会)


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